携帯フォビア

出版社 JOY NOVELS(有楽出版社)
カテゴリー 00A ホラー
帯キャッチ 携帯恐怖症に陥った六人の女 そのうちの誰かに携帯依存症の男は殺された
あらすじ 携帯がないと仕事にならない携帯依存症の男・清水和也・25歳。彼は予告された、携帯フォビア(携帯恐怖症)に陥った下記6名の誰かに殺される、と……。

●里崎亜弥・24歳……和也の会社に派遣社員として勤務。和也を『携帯フォビアの会』のメンバーに引き合わせた。地味な顔立ちのせいか、いつも人からおとなしくみられるが、本質はムカツキやすい女。五人の女友だちと些細なことで諍いを起こし、電話とメールで言葉の暴力を集中的に浴びせられた経験から、携帯フォビアとなる。

※和也は亜弥を妹にしたいと思う。

●長谷川知佳・25歳……キュートなアニメ声が特徴で、この歳にしてアキバのメイド喫茶でバイト中。日常生活でもメイド服を着ている。携帯の液晶画面に悪霊が浮かび上がってきたのを見てから激しいショックを受け、デジタルな街アキバで働きながら、携帯フォビアとなる。和也に「あなたは誰かに殺される」と予告した女。

※和也は知佳を専属のメイドにしたいと思う。

●安井美麗・26歳……画家のミレーにちなんで名前を付けられた美大出のアート・クリエイター。顔立ちも身体つきもセクシー、というよりも官能的。ザックリした服を着ても否応なしに目立つバストの持ち主。そのせいか、昔、中年男のストーカーに追い回されて怖い思いをしたことがあり、その出来事をきっかけに携帯フォビアになる。

※和也は美麗をセックスフレンドにしたいと思う。

●的場いずみ・29歳……某一流企業の秘書室勤務。美容整形によってアンドロイドのような無機質に整った顔立ちをしている。かなり潔癖性で神経質な印象の彼女は、電磁波が身体に悪影響を与えると信じ、脳への作用のみならず、整形後は、携帯の電磁波が整形した顔を崩すと信じて、携帯フォビアになった。

※和也はいずみを、自分といるときだけ生身の女になる人造人間だったらと思う。

●遠山百合絵・33歳……離婚歴ありの独身。パートで書店に勤務しながら、童話作家になる日を夢見ていると語る、カーリーヘアに温厚な顔立ちの女性。専業主婦時代、携帯の使いすぎによる高額の出費を夫に咎められたことから激しい夫婦ゲンカとなり、子どもがいないこともあって、あっさり離婚。そのストレスから長期間、体調を崩し、携帯フォビアに陥る。

※和也は百合絵を、結婚したらいちばん安定感がある女性だと思う。

●高木紫乃・43歳……中堅商社で役員を務める八歳年上の夫との間に高校生の息子と娘。小唄の名取で、つねに和服を着ており、気品のある色気の持ち主。子どもたちに小学生のころから携帯を持たせたのが失敗で、家庭で親子の会話もなく、夫は数人の愛人ごとに携帯を使い分ける。そんな携帯の存在が家族の絆を壊したとして、携帯フォビアになる。

※和也は紫乃の不幸を救う白馬の騎士になりたいと思う。

それぞれが語る携帯恐怖症に陥ったプロフィール。だが、それぞれに嘘があり、そして、たしかにある女は和也に殺意を抱いていた。それも、猛烈な殺意を……。

ミニ解説 携帯万能の世の中に、携帯をポリシーとして持たない人々が、まだたくさんいますね。本作は第一部が「事件まで」の章で一人称、第二部が「事件から」の章で三人称で語られます。

カバーデザイン・中原達治/装幀・杉本欣右
編集担当・伊藤木綿子

(新書判・368頁・857円)

2007年12月発売(187-1)