2012年3月31日土曜日

【作者からひとこと】@原爆ドーム 0磁場の殺人

これは4月5日発売の講談社ノベルスの「あとがき」にも記していることなのですが、少しダブることになりますが、書いておきましょう。

本作は、『白川郷 濡髪家の殺人』(2010・8)につづく志垣警部と和久井刑事の世界遺産シリーズ第二弾です。

しかし、「原爆ドーム」という場所を選んだのは、東日本大震災とはまったく関係がありません。世界遺産シリーズ第二弾の場所とテーマを原爆ドームにしようという方針は、第一作の完成を待たずに、おととし前半の段階で固まっていたのです。

2010年の秋には、第二弾のタイトルを『原爆ドーム 0磁場の殺人』とする合意も編集部とできていました。




その年の10月には、パワースポットとして静かなブームになっている岐阜県の山間にある分杭峠(ぶんぐいとうげ)の0磁場を取材し、さらにぼくにとっては三度目となる原爆ドーム周辺の取材も済ませました。

そして詳細なプランも組み立て上がり、さあそろそろ執筆開始というときに、2011・3・11の、あの出来事が起こったのです。

大幅に発売のタイミングをずらさざるをえなくなりました。

いくら原発のことは取り上げていないといっても、また放射能の恐ろしさそのものはテーマにしていないといっても、やはり物事には時期というものがあります。



しかし、しばらく執筆を先延ばしにしているうちに、昨夏、広島の原爆に関して、NHKテレビで非常に興味深いドキュメンタリーに出会いました。それがどんなものであったのかは、作品でごらんください。

そして、このドキュメンタリー番組が重大な史実をあぶり出したにもかかわらず、それに世間がほとんど反応しなかったことに、ぼくは「ああ、これが日本というものなのかもしれない」と思ったのでした。

それを主人公(志垣警部や和久井刑事ではなく、今回の物語の中心人物です)の思いとだぶらせてみたのです。



まあ、それはそれとして、あいかわらず志垣と和久井はバカをやってます。笑いは、このシリーズには欠かせないし、人生にも欠かせません。

いまの原発問題とはまったく無関係なストーリーですので、肩肘張らずにお読みいただける内容になっています。

また、たまたま担当編集者の河原さんが広島出身ということで、ご家族・ご親族の「ネイティブ」の方から「広島語」のご指導をいただき、その点でも、かなり雰囲気は出ていると思います。

お楽しみください。