2012年3月13日火曜日

いろんな外国語⑯台湾語と⑰台湾華語(國語)――繁体字のパワーを感じる言語

ローマ教皇(法皇)が統治するバチカン市国は中国を承認せず、台湾を中華民国として承認している。

ただしこれは、バチカンが人権問題などで中国を認めないというのではなく、むしろ中国にとって、ローマカトリックの総本山が影響力を及ぼすのは最も避けたいところだからだろう。

世界政治に影響力のある国で台湾を国家として承認しているのは(つまり中国を承認していないのは)、このバチカンぐらいで、あとはバチカンの方針にならってか、ローマカトリック系の小国を中心に、経済的に豊かとはいえない国が大半だ。

台湾サイドも中国大陸の領有権まで主張していては、この状況が変わることは永遠にないだろう。

という政治的な話は脇に置き、純粋に語学的な見地から台湾のことばに目を向けてみる。





台湾の公用語は、かつては「國語」と呼ばれていたが、ほんの数年前、台湾教育部によって「華語」という新たな呼称に変更された。中華の「華」である。

これは中国の公用語である普通話と重なる部分が多い。

だが使用される文字は繁体字であり、大陸側が簡体字という簡略化の方向に進んでいったのとは対照的に、いわば日本の旧字に相当するスタイルの漢字を使用している台湾では、その画数の多さに圧倒されてしまう。

そもそも「台湾」という国名だって、現地の表記では「湾」の右半分(つくり)は「彎」と書く。(いまは「台」のほうは「臺」ではなく、シンプルな「台」を使っている)



数えたことはないけど、画数が一ケタで済む漢字の割合は、日本の漢字に較べたら大幅に少ない。画数15前後はザラで、20画を超える字もごくあたりまえのように登場する。そこまでいくと、ルーペで拡大しないと、いったいどんな構造になっているのか、ぼくの目の分解能では追いつかない。そして、なにより筆記に時間がかかる(笑)。

それでも日本人として漢字に慣れているからなんとかついていけるが、西洋人は目を回すだろう。



でもYAHOO!台湾(http://tw.yahoo.com/)なんかを見るのもなかなか楽しい。

日本の書店では、中国語の教材は山ほどあるのに、台湾語・台湾華語のそれはごくわずかで、しかも親切なものはあまり見かけない。

だから、ネットのポータルサイトでなじんでいくほうが面白かったりする。



一方、台湾語というのは、閩南(びんなん)語に属する福建省の方言がルーツで、台湾人の約七割はこの台湾語を話し、公用語の華語とのバイリンガルになっている。

14年も前になるが、ぼくは一時期、広東語の個人レッスンを受けていたので、もうだいぶ忘れてしまったとはいえ、広東語は耳に馴染む。

台湾語は、漢語派という大きなくくりでは広東語といっしょにできるが、その漢語派の中では別々のグループに属し、発音も含めて、広東語のノウハウはわずかしか応用できない。



台湾国民から寄せられた東日本大震災の義援金に対して、日本政府ではなく、対台湾窓口機関である交流協会台北事務所が感謝のCMを出したが、これは公用語の華語で書かれているようだ。

ローカル言語としての台湾語の中には「歐里桑」(おりさん)、「歐巴桑」(おばさん)、「運將」(うんじゃん)など、日本語由来の単語もちょくちょく目にする。

「おじさん」「おばさん」「タクシー運転手」のことだ。

そういえば、ぼくがこどものころは、おとなの乗客はよく「運ちゃん、銀座までやってくれい」なんて言ってたなあ。いまでは、なにかと差別差別で、悪気のない呼びかけまで消えてしまったが、台湾には残っているというわけだ。



台湾の親日ムードに甘えすぎてはいけないけど、でも、台湾の人たちには親近感がもてる。

日本の若い人も、台湾のネットにアクセスして華語と台湾語の文化にふれるといいと思う。