2012年2月23日木曜日

コンピューターはなぜ小型化していくのか

自分のことを「文化系」と名乗るのもおこがましいほど、ぼくは大学の授業に出なかった。

まして理科系の知識などは、雲の上の世界だった。なのに、いまになって、どうしたんだ?というほど知識欲が湧いてきた。

しかし、その勉強のプロセスは、いかに自分が学問の進歩から取り残されていたかを痛感させられる過程でもある。

恥ずかしながら、ぼくはコンピューターが小型化していく真の理由を、最近になるまできちんと理解していなかった。まったく、おそまつなもんである。




集積回路の技術が進歩すれば、小さいスペースにびっしりと情報処理回路を組み込める。そのことが、コンピューターの高性能化につながると同時に、軍事兵器から自動車・家電製品に至るまで、コンピューターを搭載することが便利になるからだ、と、こんな程度の理解しか持っていなかった。

技術革新の核にある基本法則を、まるでわかっていなかったのだ。



量子コンピューターのことを勉強したくて、入門者向けの本はないかと探してみたら、お茶の水女子大学の博士課程を卒業し、クイーンズ大学(豪州)やウエールズ大学(英国)の研究員を経て、現在は国立情報学研究所に勤務しておられる根本香絵・理学博士の「量子コンピューターはなぜ注目されているのか ようこそ量子」という本を見つけた。

「知的な美女」という表現はよく聞くが、根本博士の場合は「~的」じゃなくて、もろ頭のデキが違うという点において、「高知能美女」と名づけたい。

http://www.ocha.ac.jp/news/archive/h181219.html


で、根本先生の本の中に、こういう一節があった。

「”より速く”を目指すと、コンピュータは”より小さく”進化する」



余談だが、ぼくはPC用語で「ter」とか「tor」で終わる単語をカタカナで表記するときは、音引きの「ター」で終わらせるように既述するが、理科系ギョカーイのみなさんは、きまって「タ」で止める。

なので、根本博士の文章からの引用では「コンピュータ」とするが、ぼくの地の文では「コンピューター」で書かせていただく。



で、根本博士いわく、電子信号の行き来に要する時間がコンピュータの処理速度を決定づけているとすれば、信号の速度を上げていけばいいことになるが、それは光速を超えることはできない。そうなると、信号のやりとりをする2点間の距離を短くすればいい、というところに行き着く、と説明される。

だからコンポーネントや回路をできるだけ小さくして、できるだけ一カ所に集中させること。それがコンピュータのハードウエア開発の基本だと。

目からウロコ! だった。

小さくする技術が進歩したから小さくできたのではなく、処理速度を速めるには距離を短くするしかないから小さくなった。

小型化の本質が、自分の理解とは逆だった。

光速を超えられない以上、信号伝達距離を短くするよりない。だからコンピューターは小型化するのが必然、という説明をしてくれたのは、根本センセがはじめてである。



またひとつ、昨日の自分より少しだけ賢くなりました。