2012年2月2日木曜日

「20年に一度の」最強寒気

気象情報会社のウェザーニュースによれば、いま上空にあるのは「20年に一度の最も強いレベル」の寒気とか。

最近「50年に一度」とか「100年に一度」といったフレーズが、天変地異関係でよく使われるが、このトレンドって、ほっといていいんだろうか

少なくとも科学分野でこの表現はないと思う。




日常生活で「めったに起こらないことが起こった」とき、「100年に一度」と使うのは、一種の誇張だと誰もが理解する。

たとえば数年前の将棋界では「100年に一度の大逆転」と言われるドンデン返しが起こったけれど、その後ほどなくして、また同様のケースが起きた(笑)。

まあ、こういう勝負の世界では「100年に一度」というところに数値的な根拠を求める人は最初から誰もいないので問題はない。

だが、自然災害では違う。



今回、20年に一度というのは、上空1500mにマイナス12℃という強烈な寒気が入ってきたのがデータ的にみて20年ぶりだということによるものらしいが、それはあくまで「20年ぶり」であって「20年に一度」ではない。

もしかすると、来年もまた同じレベルの寒気が入ってくるかもしれないのだ。

ぼくの記憶では、かつてはこういうときに「20年ぶりの強烈な寒気が日本列島を覆っています」という報道はしても「20年に一度の寒気が……」という言い方はあまりしなかったように思う。



「○○年に一度」というフレーズをよく目にするようになったのは、いうまでもないが昨年の大震災からである。何百年に一度とか、100年に一度とか、50年に一度とか。

なんで、そういうサイクル論を科学分野で安易に数値として語るんだろう。



かつて仕分けの女王・蓮舫議員がスーパー堤防のプロジェクトを仕分けしたときにも「200年に一度の災害に備えて、400年かけて事業をする意味が分からない」と言った。

完成まで400年もかけてどうするんだ、という意味だけで言うならわかるが、その根拠に「200年に一度の災害に備えて」というフレーズをもってくるところの非科学性に気づいていないのは問題だ。



災害の甚大さを伝えるのに「○○年に一度」という表現を用いることが常態化していくと、「じゃあ、あと○○年は安全だろう」と頭の片隅に根拠なき安心がすり込まれてしまう。

べーつに、最強の寒気が「20年に一度」だろうと「20年ぶり」だろうと、どっちだっていいじゃねーか、細かいこと、いちいち気にすんなよ、という声が、自分の頭の中でしないでもないのだが、ぼくは「100年に一度」の表現がもたらす心理トリックは、かなり危険であると思っているのだ。