2011年12月29日木曜日

いろんな外国語④ドイツ語―語順とは「発想の順」であると思い知らされた言語

いまでも初心者だが、ぼくが「超」の字が三つ並ぶぐらいのドイツ語ビギナーだったとき――

定冠詞・不定冠詞・定冠詞類・不定冠詞類などが「てにをは」に応じて1格から4格まで変化し、しかもそのパターンが男性・女性・中性・複数の4種にわたり(つまり4×4で16種)、さらに形容詞も「てにをは」と冠詞の組み合わせに応じて弱変化、強変化、混合変化のどれかのパターンにあてはまるという現実に呆然となった。

だが、例の「その国の子供にできて、おとなのオレ様にできないことはない」という強引な自己暗示によってがんばり、少しずつ難関をクリアしていったが、つぎにもっと大きな壁が立ちはだかっていた。




それは語順である。

ぼくはドイツ語というものは、フランス語やイタリア語などのラテン語系ロマンス諸語に較べてずっと英語に近いと勝手に思い込んでいたが、その想像はみごとに打ち砕かれた。

ドイツ語特有の「ワク構造」は、英語とはまるで別世界のところへぼくを拉致していくのであった。



ぼくは読んでいないのだが、エルキュール・ポワロのシリーズに「容疑者は動詞を文末にもってくる癖があるから、ドイツ人ではないか」とポワロが推理する場面があるそうだ。

自分で確認していないので、不正確な又聞きだったらすみません。だが、ドイツ語の特質をよくとらえていると思う。



ドイツ語の動詞は原則として2番目の位置にくるというのは、あくまでシンプルな単文の場合で、接続詞を使って複文にした場合、主文の動詞は2番目の位置でも、副文のほうの動詞は、接続詞の種類によって倒置したり文末に置かれたり、分離動詞の場合はふたつに分かれたり、助動詞の場合は、それが助動詞として使われる場合と、本動詞扱いの場合でまたパターンが異なったり……。

いったいドイツ人の子供は、こんなルールについていけてるのか!

ほんとに不思議である。



でも、ドイツ語を勉強して痛感した。

とにかく彼らがその複雑な変化のルールに従ってしゃべっている以上は、頭の中でもその順番で考えているのだ、と――

頭の中で考えている順番と、口に出す順番が異なるから、異邦人にとっての外国語は難しいわけで、ドイツ人が考えているとおりに思考回路が働けば、一定の語彙力さえあれば、なんも苦労はせずにドイツ語がぺらぺら出てくるはずなのだ。



たぶん、マックとウインドウズぐらいの違いはあるのでしょう。日本人とドイツ人の頭脳構造は。

翻訳によって外国語話者と通じあえる部分は、じつはごくわずかなのかもしれない。