2011年12月6日火曜日

宝塚の底力

劇団四季の「マンマ・ミーア!」を観にいった@京都劇場。この作品を見るのは日米合わせて四度目。

四季なのに、ブログのタイトルが「宝塚」なのはなぜ? それはのちほど。

きょうは公演の二時間前から約30分間、リハーサル風景を見学できるツアーに参加。リハ中は全員ノーメイクのすっぴんで、舞台衣装もまだ着けていない。まさにコーラスラインの、あのオーディション的ファッションである。

そしてリハーサル後、出演者5名が客席に降りてきて、質疑応答タイム。司会進行役は「マンマ・ミーア!」でソフィーの父親候補3人のひとり、サム・カーマイケルを演じる荒川務。

昭和49年にデビュー曲「太陽の日曜日」でレコード大賞新人賞をとった、郷ひろみの歌マネが得意な、真っ赤なパンタロン姿が初々しい14歳の「荒川つとむ」という男の子がいたけれど、そのアイドルとは同姓同名の別人……じゃなくて、まさにご本人。

アイドル歌手の荒川つとむくんが、いまや劇団四季の中核をなすベテランミュージカル俳優。とてもその歳にはみえないけれど51歳である。




で、その荒川氏が紹介する四人のキャストの中に、40代と見受けられる女性がいて(もちろんノーメイク)「ことしの二月に四季のオーディションを受けて入ったばかりなので、とても大変です」と控えめにコメントされる人がいた。

すでに12月号の四季会報誌では、見開きでその方のインタビュー記事も組まれていたが、見学ツアーの人々の中には「なぜその年齢で、劇団四季ほどの厳しいオーディションを通ることができたのか?」と、いぶかしく思った人もいたかもしれない。きょうは四季会員限定企画じゃないから。

とにかく彼女は、まるで「ン十年遅れてきた新人」といったふうに「まだ四季のキャリアはとても短いので」と謙虚さを貫き、質疑応答コーナーでは最後まで自分の前歴を明かさなかった。



幕が開くと、その人はロージー役(ドナ、ターニャとともに、三人組ヴォーカルで「ダンシング・クイーン」などを歌って踊る主役のひとり)で登場。リハーサル時のすっぴんイメージが嘘のように、警視庁捜査一課の志垣警部でも見抜けない(笑)大変身でバチーッと決まって、輝きまくっている。

宝塚在籍25年、宙組の初代副組長、二代目組長、そして三年前まで月組の組長だった出雲綾(いずも・あや)さんである。



会報誌のインタビューによれば、宝塚を退団してひとりでやっていると、悪いところを叱ってくれる人がいないので、もう一度、師となる人に出会いたくて、四季のオーディションを受けたのだという。

おそらくいちばん苦労されたのは、四季特有の発声法ではないだろうか。

宝塚は宝塚でいいんだけど、セリフのメリハリという点でいうと、宝塚ではときおり舞台でのセリフが聞き取れないことがあるが、四季では絶対にない。

その四季流発声法に抵抗感をもつ観客もいるのは間違いないが、それこそが劇団四季の生命線であり、その基本中の基本を批判すると浅利慶太さんは100%キレます。保証します(笑)。



それから宝塚の娘役は歌の高音部をファルセットで歌うことを許されるが、劇団四季ではどんなに高いキーでも地声で歌い通さねばならない。ファルセットは使えないのだ。

もちろん出雲さんは、しっかりと四季流でセリフ回しをこなす。そして高いキーの歌も地声で歌い抜き、立ち姿の貫禄に至ってはやっぱり宝塚だなと思う。

いや~、プロだな~、とつくづく感心した。

そういう意味で、宝塚の底力を見せつけられた四季の「マンマ・ミーア!」だった。



ところで、リハ見学ツアーの中で、荒川務氏が浅利慶太氏のことばとして紹介した、とてもいいフレーズがある。それは次回。