2011年11月29日火曜日

その字幕はありえねえですだ

「風と共に去りぬ」は1939年のアカデミー賞を受賞した4時間近い大作で、1943年に軍報道部映画班員としてシンガポールに派遣された小津安二郎は、日本国内で見ることのできなかった、このカラー超大作を現地で見ている。

ほかに外地で鑑賞機会を持てた人々と同じように、小津も「これだけの映画を作れる国と戦争しているのか、そりゃ勝てん」と愕然となったことだろう。

しかし、現代の我々がDVDで見ているのは、DVD用に画像を美しくリストアしたもので、当然、字幕もその際に再検討されていると思うのだが……。






この映画でメイド頭を演じ、黒人初のアカデミー賞(助演女優賞)を獲ったハティ・マクダニエル(写真左)をはじめ、出てくる黒人の使用人役のセリフ語尾が軒並み「~ですだ」なのだ。

「お嬢さま、それはいけませんですだ」「淑女はそんなことはしねえものですだ」「~しただよ」

こんな調子である。

なにもわざわざ日本語でそんな表現をしなくてもいいのになあ。使用人が田舎者でこういう言葉をしゃべるという発想自体が、時代にそぐわないし。



そういえば、こんなケースもあった。

20年以上前、扶桑社で海外書籍部門の編集長をしていたとき、あるノンフィクションですでに和訳されているものを文庫化することになり、親本を読んでいたところ、ハリウッドの名監督が、関西弁をしゃべっている場面に出会った。

けっこう、これは妙なものである。

訳者は、当時の大物である。これは南部なまりを意図的に表現したのだろうかと思いながら、大先生に直接電話をかけて問い合わせてみた。

「なぜ○○監督が関西弁をしゃべっているんですか? 独特の方言なんでしょうか」

答えは――

「いや、なんとなく関西弁にしてみただけ」

文庫版では標準語に直すことを了承していただいた(笑)。



ところで、主演のヴィヴィアン・リー(写真右)だけど、撮影当時はまだ20代半ばであるが、額の横じわがすっごく気になるのはぼくだけだろうか。