2011年11月9日水曜日

取材はここからスタートした

おもえば『ウイニングボール』の取材は2005年の10月3日からはじまった。

そのときの模様を、なつかしの旧ホームページの名物コーナー「スターダスト エッセイ」から再掲しよう。





「命を救う(1)」

私が冬山取材に出かけた期間と相前後して、白馬方面での遭難が相次いでいる。

四月でも油断がならないのが北アルプスの山々で、いま連日のように救助活動に出動しているのが、長野県警が誇るこの新鋭ヘリ「やまびこ」である。


旧機種の「信州」ではホイストと呼ばれる吊り上げ装置のワイヤー長が30mしかなかったものが「やまびこ」では90m。これまで最大で80mまで繰り出したことがあるそうで、ホイスト重量も「信州」136kgに対して「やまびこ」は272kg。救助能力が格段に向上した。

ヘリの後部には四列二段に並んだスピーカーが搭載されており、ヘリの爆音や風音にも負けない音量での呼びかけができる。

ローターの回転力も強烈で、地上駐機中にうかつに近寄ると吸い込まれる危険があるほどだ。


写真は昨秋、戸隠山岳救助隊の訓練にオブザーバー参加させていただいたときのものだが、ヘルメットをつけてレクチャーに聴き入っている人たちは専業の救助隊員ではなく、みな日常の職業を持っている方々ばかりである。

そして、いざ出動要請が出ると、自分の仕事をほうってでも救援に駆けつけるのだ。


他人の命を救うために、自分の仕事を犠牲にし、自らも命を賭して出動するこれらの人々のことを考えれば、まずは登山者自身が最大限の準備と注意を払わずにはいられない。

冬山に出かけるのに「日帰りだから」という装備の発想はありえないのだ。




【追記】
写真右側、チェックのシャツに白いヘルメットをかぶっているのが、現・戸隠遭対協のリーダーである秦孝之(はた・たかゆき)さん。

本作品の監修と、レスキューヘリ・シミュレーション飛行の同乗をお願いした。