2011年10月11日火曜日

英国王のスピーチ(2010)

去年からことしにかけて封切られた映画の中では、断然イチオシの作品だ。

第83回アカデミー賞の作品賞、主演男優賞、監督賞、脚本賞を受賞。



どんな人にもコンプレックスやハンディキャップがある。英国王ジョージ5世の次男アルバート王子(のちのジョージ6世=現・エリザベス女王の父)もそうだった。幼いころに左利きを強制させられたり、ほかの心理的要因もあって「どもる」ようになった。

余談だが、映画の字幕では基本的に「吃音」という語句を使っているが、一部では「どもる」とか「どもり」と使っているのは非常に自然でよい。



何でも言葉を言い換えれば事が済むとする(「障害者」→「障がい者」もしかり)、我が国にあふれ返っている欺瞞的スタンスでは、こういう種類の映画はつくれない。

そういう点では、ばかげた言葉狩りに右へならえをしない字幕に、共感を覚えた。ちょっとここは余談ですけどね。



コンプレックスや肉体的あるいは精神的ハンディキャップにふれると差別だとわめき立て、漢字の字面だけ変えてよしとする日本人的「差別をなくそう」幻想こそが、かえって根強い差別を助長している風潮は、一時よりは少しはマシになったかもしれない。

「英国王のスピーチ」のように、悩める人の努力に堂々と拍手を送り、それがまた別の悩める人へ大いなる勇気を与えるという、そうした国民性を日本人のあいだにも、もうそろそろ根づかせていきたいものだと思う。

こうした題材の映画を、自由につくれる日本になってほしい。



なお、国王の吃音矯正のトレーナーとなったライオネル・ローグの役を演じたジェフリー・ラッシュ(写真・左)がとってもよい。助演男優賞にノミネートされたが獲れなかったのは残念だ。