2011年7月16日土曜日

飛び上がるほどの恐怖

前回の「あちー」という写メをブログにupしてから山を下りはじめてしばらくしたとき、まさに足で踏んづけそうな距離のところを、くねくねくね~っと波打ちながら、ヘビが横断した。

転ばないように足もとを見ながら下っていたつもりだけど、あんがい、目はなにも見ていないんだなと思った。

しかし、本日の題の「飛び上がるほどの恐怖」は、この出来事ではない。ほんとうに恐怖で飛び上がった、ヘビにまつわる物語である。





いまから15年ぐらい前だと思う。

夏、山の仕事場の庭にテントを張り、まだちっちゃかった娘が友だちとそこで一晩を明かした。そして翌日、妻といっしょに東京に帰っていき、山の家には、ぼくひとりが残った。

それと入れ違いにやってきたのが、いまや某・講談社の文芸セクションの重鎮で、当時はぼくの担当編集者だったKさん。



ぼくはKさんに、ちょうどいいところにきてくれたとばかりに、テント撤収の手伝いを頼んだ。

テントといっても小さなものではなく、大のおとなでも、少しだけ背中を丸めれば立って入れるぐらいの大型テントである。だから、こいつをひとりで畳むのは面倒だなと思っていたところだった。

それでぼくは片づける前に、このテントの居住性をKさんに見せてあげようと思って、先にテントの中に入った。その瞬間――



目の前に……目の前といっても、すぐそばの地面という意味ではなく……胸元あたりに突然、ヘビが躍りかかってきたのである。

なにが起きたのかわからないけど、ぼくは「どわっ!」とか、意味不明の言葉を叫んでテントから飛び出した。



後ろから一部始終を目撃していたKさんに状況を教えてもらって、さらに驚いた。

ぼくがテントに一歩足を踏み入れたとき、足もとにヘビがとぐろを巻いていたそうだ。ところが、突然入ってきた人間に驚いて、ぼくの胸の高さまでジャンプしたというのである。



ヘビのほうが「飛び上がるほど驚いた」のだ。しかも、比喩ではなく、ほんとうにジャンプした。そのジャンプの頂点に達したときに、ぼくの視野にも入ってきた。



そういえば、人間が実際に飛び上がって驚いたことはないよなあ。マンガの中ではよくあるけど。



それにしても、娘がテント泊しているときじゃなくてよかった。トラウマを背負わせるところだった。