2011年6月12日日曜日

LOSTのLASTはLOST?

一昨日の記事「エスター」で、ちょこっとふれた「LOST」(2004-2010)の結末について、同じものづくりを仕事とする人間の視点からひとこと。

なお、ネタバレはありませんが、まだ「LOST」をぜんぶ見終わってない方にとって、少々興をそいでしまう部分があるかもしれませんので、ご注意ください。

また、「LOST」をぜんぜん見ていない方もちゃんと楽しめる「自虐ネタ」?がラストに用意されています(笑)。

それから、この記事のカテゴリーが「映画」ではなく「氷室」に分類されているのは、仕分けミスではありません。





7年がかりのSEASON 6で完結したテレビドラマ「LOST」。その第一回の衝撃的かつ、いままで見たこともない着想のオープニングから、つぎつぎと起こる謎は、全米のみならず、全世界の視聴者をこのドラマの行方に釘付けにした。

ところが、シーズンを追うごとに、ますます謎は深まるばかりで、「LOST」ファンたちのあいだに、ある猜疑心が募ってきた。それは――



ほんとうに論理的にすべての謎が解決つくのか?



同じ2010年に、こちらは10年越しのSEASON 8で「24」が最後を迎えた。

こちらはワンシーズンごとにストーリーが完結するスタイルだから、「24」ファンの関心は、ジャック・バウアーは最後に死ぬのか、死なないのか、だけに絞られていた。

だから極端なことをいえば、スタッフとキーファー・サザーランドは、SEASON 8の制作に取りかかる段階ではじめて、ジャックが死ぬか死なないかの決断を下しても、なんら遅くはなかった。

実際、そうだったかもしれない。



そこへいくと「LOST」制作陣の重圧はものすごかったと思う。

高視聴率をいいことに、謎を思いっきりふくらませるだけふくらませたために、ファイナルとなるSEASON 6の開始を迎えたころには、とてもではないが、16回分の放送枠では消化しきれない「謎と矛盾」の山が築き上げられていたのである。

しかも、全世界のLOSTマニアが、論理的に解決されるべき謎の数々をリストアップして、手ぐすね引いて最終回を待ち構えていた。

なにしろ「LOST」のプロデューサーは、すべての謎は最初から論理的に解決されるべく用意されていた、という趣旨のことを言っていたからだ。

ところが、それは大風呂敷を広げたにすぎず、「LOST」の制作陣は「私と同じ」大変な苦労をしているのではないか、と見抜いた人物がいた。

ほかでもない、「スター・ウォーズ」のジョージ・ルーカスである。



なんとルーカスは、とてつもない楽屋話を白状した。「スター・ウォーズ」シリーズがメガヒットしたからこそ打ち明けられるエピソードだ。

第一作を撮ったときには、なんにも先のことは決めていなかったけれど、あたかも壮大な叙事詩が構想されていたかのように装い、あとから付け焼き刃的に決めた設定を、最初から計算ずくであるかのように、もったいぶって発表していた、というのである。

まさにエピソード0だ。

それと同じ苦労を「LOST」の制作陣はしているに違いないと、ルーカスは語ったのだ。

……というより、見抜いていた。



案の定、最終回の評価は賛否両論だった。いや、プロデューサーたちがファンの声に傷つき、本気で落ち込んだと告白しているところからみると、ブーイングが主流を占めていたものと思われる。

それは数字が端的に示している。



The Internet Movie Databaseのユーザー投票で、8シーズンつづいた「24」の総平均点数は10点満点で8.7、グランドフィナーレの放送が8.6。

それに較べて「LOST」は6シーズンの平均値は8.6と、ジャック・バウアーとほぼ互角だが、ファイナルシーズンの土壇場の急降下がひどい。

ぜんぶで16回の放送だったが、第13回は8.8と、最高に盛り上がったのに、第14回は8.1 と急落、ラス前の第15回で8.5と盛り返したものの、グランドフィナーレは、通常の43分枠を105分まで拡大したにもかかわらず、8.1だった。

SEASON 1の第一回放送が9.3!という超高得点であったことを思えば、あまりにも淋しい大ラスの点数である。

ぼくもそうだが、7年待ってこれはない、と思いつつも、その7年をムダにしたくないという心理から辛い点数をつけられなかった人もいるだろうから、ホンネの点数は7点台にまで落ちていたのではないか。



とりわけ第14回はひどかった。

「これを含めてあと3回だから、どうやってエンディングへとなだれ込むのか」と、ワクワクして待ち構えていた気分に完全に肩すかしを食らわせるように、なんと、謎の設定理由を「必死に」説明するために、一気に時代が過去にさかのぼり、レギュラーメンバーがひとりも登場しない回となってしまった。

残り3回というときに、ジャックもケイトもソーヤもヒューゴも、ジョン・ロックもサイードも、ジンもサンも、あのベンさえも登場しないという、主役全員欠場の異常な構成となってしまったのである。

「24」にたとえれば、残り3回でジャック・バウアーもクロエ・オブライエンも大統領も、さらには悪役の親玉さえも出てこない回を作ったようなものである。

おそらくこれでLOSTファンは、いやな予感を抱いたと思う。ぼくも、そのひとりだった。

ファイナルシーズンの前半では、われらが日本の真田広之も4回にわたって登場し、活躍してくれたというのに……。

制作陣は、自らが作った謎のラッシュに押しつぶされて、LOST=途方に暮れてしまったのだろう。主役級の俳優陣の中にも、納得がいかなかった人が何人かいたようだ。

さて――







おまえが言うな!






という声が聞こえてきそうである(笑)。







おまえの魔界百物語はどうなんだ!






ね? 読みながらそう思ってたでしょ。

「魔界百物語」なんて、完結しっこないよ。

ま、せいぜいあと1冊、適当にお茶を濁して終わるのさ。






そう言いたかったでしょ。






ふふふふふ……。

7月の発表をお待ちください。