2011年6月2日木曜日

チャイナ・シンドローム(1979)/大震災は映画化できるか

主演:ジャック・レモン(ベンタナ原発制御室長)、ジェーン・フォンダ(チャンネル3レポーター)、マイケル・ダグラス(フリーランスのTVカメラマン)

1979年3月16日に全米公開された12日後に、ほんとうにスリーマイル島原発で事故が起きてしまったという、いわくつきの作品。

と同時に、メルトダウンが起きると、融けた核燃料が地球を貫いて反対側の中国に出てしまうという、まったくありえない話を科学的真実と錯覚させ、「メルトダウン」という言葉への心理的恐怖を人々の脳裏に擦り込ませてしまった問題作。

公開当時、ロードショーでみたけれど、時節柄、あらためてDVDで見た。





冒頭、原発の制御室を見学エリアから取材していたチャンネル3のクルーが異様な振動を感じる。それは飲み物の揺れとして映し出される。そのとたん、眼下の中央制御室ではジャック・レモン演じる室長が大パニックに陥っているのがみえる。

我々日本人がこの出だしを見ると、最初の振動は当然、地震だろうと思うし、それにしては揺れが少ないなと疑問に思うことになるが、じつはこれは地震ではなく、原発タービンの欠陥による異常振動だった。

つづいて冷却水の水位が下がり、炉心溶融まであとわずかという大ピンチを迎える。

結果的に、この日の危機にはとりあえず対応できたのだが、制御室の会話がまったく聞こえない防音ガラス越しにその混乱を見ていた取材クルーは、カメラマン(マイケル・ダグラス)の機転で一部始終を隠し撮りする。

そして夜のニュースショーのレポーター(ジェーン・フォンダ)がそれを全米放送しようとすると、それに待ったがかかる。

その裏では、原発の新規建設の妨害にならないよう、この事故を矮小化しようとする動きがあったからだった――

という設定で、話は中盤へと入っていく。ネタバレにならないよう、ここでとどめておくが。



さて、今回の大震災は、いずれ映画化されるのだろうか、と考えた人も少なくないだろう。そして、すぐにこう思ったはずである。被災者の気持ちを考えたら、少なくとも日本での製作は無理だろうと。

ぼくも津波被害に関してはそう思う。しかし、原発事故に関しては絶対に映画化すべきだと思う。

この「チャイナ・シンドローム」がそうであったように、なにもハデな災害シーンをCGで再現する必要はない。そうではなく、いかに政府、官庁、電力会社、地方自治体の一部の長が愚かな行動をとり、国民の健康が二の次にされてしまったのか、という点に絞り込んで描くのだ。

それほど遠くない将来に、こうした映画作品を作るのは、映画人の義務だと思う。



ちなみに安倍晋三元首相が夕刊フジで、海水注水問題における菅総理のほんとうの行動を語っている。少なくとも、無数にあるネット情報よりは、信頼してよい話だと思う。

http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20110601/plt1106011619001-n1.htm


人を怒鳴ることで総理まで上り詰めた人間は、人を怒鳴ることで墓穴を掘り、それだけでなく、国民の命まで巻き添えにしようとしていた、という話は、映画化されてしかるべきテーマだ。

パニック映画というジャンルになるのは間違いないが、それは興味本位な災害スペクタクルではなく、「総理大臣のパニック映画」という本邦初のテーマが描き出されるはずである。