2011年4月20日水曜日

▲「担当編集者から」VOL.43 『陰陽師暗殺』@集英社文庫

▽集英社文庫書き下ろし「陰陽師暗殺」が4月20日(水)、全国書店で発売になります。

陰陽師のマークともいえる五芒星が目立つカバーになっています。

今回も「卑弥呼の赤い罠」「飛鳥の怨霊の首」に続く“歴史ミステリー”ですが、歴史好きでない方にも楽しめる、軽快な筆致のミステリーになりました。


                 

▽陰陽師といえば、安倍晴明が圧倒的に有名でご存じの方も多いと思います。今回は、陰陽師とは何者なのか、その存在や意味をやさしく紐解きながら、安倍晴明伝説についても深くわかるようになっています。

雪の京都。精神科病棟にキツネ憑きが理由で入院した資産家の老女がいます。彼女は、お金を持って、自ら入院しにきたというのです。老女の振るまいは、演技なのか憑きものなのか、医者たちも判断に迷うほど。病室の描写は圧巻で、“コーン”の鳴き声に、老女の思いのたけが伝わってきます。

一方、陰陽師を名乗る女が、一条戻橋で殺される事件が起こります。その殺人を予言したような小説を発表した東京在住の作家にも被害は及び、次々と殺人の連鎖が!



▽キツネ憑きで入院した資産家の老女を中心に、その担当医をはじめ、病院長、英光大学古代史研究会のメンバーが、魔界都市・京都へ誘い込まれていきます。

▽とくに古代史研究会の村野杏美は、親友が巻き込まれたことで、深く事件と関わることになってしまいます。やがて、京都府警の波多野警部は、彼らを脅かす連続殺人は、“陰陽師”を巧みに利用していることに気づくのですが……。



二転三転するストーリーの愉しみ。魔界都市・京都の存在、呪術家としての陰陽師など、魅力的な背景と登場人物たち。彼らの活躍に加え、波多野警部の名推理が冴えます。


▽事件の真相が見えたとき、ある人物の深い悲しみが浮かび上がり、哀愁を感じる結末となりました。

エンタテインメントとしても読み応え充分の歴史ミステリー作品。ご期待下さい!
(集英社文庫 伊藤木綿子)


【作者からひとこと】
☆歴史ミステリー第3弾は、時代が下って平安時代の京都を支配していた怨念の論理が骨子に横たわっています。

☆今回は続々と人が殺されていきますが、その出発点は京都。京都発でなければありえないような、常軌を逸した加害者の論理がポイントです。