2011年4月10日日曜日

キャパ超えの嵐電、粋な対応

本日の京都がいかにものすごい観光ラッシュであったかを物語る写真がこれだ。

といっても、この写真を見ても、すぐにはそのスゴさがわからないだろう。とくに東京で毎日通勤ラッシュにもまれている人からは、これぐらい日常茶飯事の風景じゃないか、どこがすごいんだ、と言われそうだ。

だが、よ~く見てほしい。

どんな都会のラッシュに慣れた人でも、まずふだん経験したことがない事態が起きているのがわからないだろうか?



京都で唯一、一部区間に路面電車の風情を残す嵐電は、ふだんは一輌編成が主体だが、日曜祝日や桜・紅葉観光のピークになると、大半のダイヤを二輛編成で走る。

そして始発駅である嵐電嵐山では、電車の中が混み出すと、東京の感覚だとまだまだ客をぎゅうぎゅう詰め込めるスペースがあっても、発車時刻前なのに、ドアを閉めてしまうのだ。

この日も、私が乗った電車は、嵐山駅では発車4分前でドアを閉めてしまった。しかし、動き出すわけではない。ドアを閉めて新たな客を乗せない状態にして、出発時刻がくるまでホームで待機しているのだ。

乗れないお客さんは、なんで~?という顔でホームから電車の中をのぞき込む。東京の朝夕ならば、この程度は「すいている」といってもいいほどなのに。



しかし、驚くのはここから先だ。

そうやって乗客の人数制限をして発車した電車も、その後の駅でさらに客を乗せてゆき、ついには有栖川駅で、どうにも人が乗れなくなった。

つまり、始発駅でまだ車内がそれほど大混雑にならないうちに早めにドアを閉めてしまったのは、嵐山駅で限界まで客を乗せると、途中駅でまったく客が乗れなくなってしまう。その調整であったのだ。

さて、ついに満員になったとはいうものの、くどいようだが東京ならまだまだ詰め込むスペース十分だ。京都では、駅員がお客のお尻を押して電車の中へ押し込むような、品のないことはようせんのどす。

だが、お年寄りの夫婦が「さっきの電車にも乗れへんかった。二度もやり過ごすのはイヤや」と言い出すし、ほかにも乗れずに困っている客がホームに数名。

そのとき、駅員はどうしたか。



なんと、2両編成の後ろの車輌の運転席ドアを開けて、そこにも客を入れてしまったのである! 「そのへんのボタンを絶対押さないでくださいね!」と注意しながら。

少なくとも5、6人は乗り込んだのではないか。

もちろん駅員もそのスペースに同乗したけれど、私も何千回電車に乗ったかわからないが、2輛目とはいえ、運転室に乗客が入って走る電車を見たのははじめてである。

それがこの写真だ。



で、最初の写真のほうは、このあと乗換駅の帷子ノ辻(かたびらのつじ)駅に到着したところで、運転席のドアから客が降りてくるところを撮ったショットなのだ。よく見ると、通常のドアではない狭いところから出てきているのがわかると思う。



でも、なんだかすごくいい感じの「臨機応変処置」だという気がした。これぐらい柔軟に対応してくれると、そこに人情味を覚えるではないか。

ほんとうに嵐電は、人と人とのつながりを大切にして、トコトコと毎日走っている。

朝の通学に小学生が乗り込んでくるときは「おはようございま~す!」と、運転手に元気にあいさつする姿もよく見かける。

そして乗務員の人たちも、ほんとうにお客さんの立場になって、いろいろ対応してくれるのだ。

最近、杓子定規で融通の利かない政府の災害対応ばかり見せられていただけに、いい光景を見せてもらった、と思った。

嵐電は大好きだ。