2011年4月1日金曜日

スポンジボール

エイプリル・フールには、ウソをつくよりもマジックをやるほうがセンスいい。

この写真だけ見ても、多くの人は「なんだ、コレ?」という感じかも。横に置いたマウスは、大きさ比較のため。露出の関係で朱色っぽくなったが、実物はもっと濃い赤である。

たった二個のスポンジボールで、いろいろなマジックができる。このバリエーションとして、手品ショップでよく売っているスポンジ・ウサギのほうがよく知られているかもしれない。

かつてマジシャンは、食器洗い用の四角いスポンジを買ってきて、それをハサミで球体に切り出していた。スポンジをボール型に造形する技術がなかったからである。当時のマニアは、それを「散髪」といっていたらしい。



その後、アルバート・ゴッシュマンというアメリカのマジシャンが、自ら球体のスポンジボールを売り出し、このジャンルのマジックのエキスパートとなった。

私もゴッシュマン・ブランドのスポンジボールを持っているが、それが最高級といわれたのは、もう昔話。いま世界最高品質を誇るマジック用スポンジボールは日本製である。

この写真のものがそうだが、手のひらで押さえ込んだときの収縮率と、その復元力のすごさはゴッシュマンもはだしで逃げ出すほどだ。

手ざわりの差も、木綿豆腐と絹ごしぐらいの違いがある。



いっしょに撮影するのを忘れたが、スポンジボールマジックにはつきものなのが、パース・フレームという、開け閉めする金属の枠部分だけがあって、袋の部分がないガマ口(サイフ)である。その、いわば透明のサイフから、スポンジボールが出てくるのは定番。

ほかにも10 count surpriseとか、子ウサギの増殖ような消失&出現系の古典的な手順(これをルーティーンという)はおなじみだが、私が面白いと思ったのは、フランク・バルゼラックがバー・マジックとしてやったもの。

赤いストローで飲み物を飲んでいたら、ストローがなんか詰まってしまったというゼスチャーをする。そしてストローを飲み物から出して、思いきり吹いたら、このスポンジボールがポンと出てくるというやつ。

飲み物がトマト・ジュースだったかどうか記憶にないが、そうだったら客にはかなりウケるだろう。




スポンジボールの色は赤が標準だが、黄色やオレンジ、それに黒もある。

セーターを着ているお客さんの袖をこすって、いかにも洋服をちぎったようなしぐさをして、そこから同じ色のスポンジボールが取り出される、という手順のために、この黒のボールをふだんから用意しているマジシャンもいる。

赤い服を着ている客よりは、黒い服を着ている客のほうが率としては高いから、黒いスポンジボールはもっぱらそういう使い方をされる。そして、いつ出番がくるかわからない即興マジックのために、マジシャンはそうした小道具を、ダメもとで用意しているのである。

さあ、いまからやりますよ、とステージで構えるよりも、はるかにビックリされる。それが即興マジック(impromptu magic)の魅力だ。

私も黒いスポンジボールを持っているが、さすがにそれをふだんから持ち歩くようなことはしていない。こんどやってみますかね。