2011年3月1日火曜日

▲担当編集者から VOL.41 『ソックリさん』

▽「今度の新刊のタイトルは、『ソックリさん』にしようと思う」

▽打ち合わせの際、そんな吉村先生のお話を聞いた時には、思わず聞き返してしまいました。「ソ、ソックリさんって……何ですか?」

▽声で聞かないとニュアンスが伝わりにくいのですが、この「ソックリさん」は、モノマネタレントの「ソックリさん」ではなく、「ソ」にアクセントを置きます。カバーや帯をご覧いただいた方はピンと来たのではないかと思います。そう、あの「コックリさん」と同じアクセントなのです。

▽高校時代の同級生20人のうち11人が死んでいる――。その事実を目の当たりにした携帯ゲーム会社の若き社長・丹波勇樹は愕然とします。ある死者は謎の暗号を残し、またある者は勇樹の携帯に殺害される様子が生中継されます。その中継で犯人は、自分のことを「コックリさん」と同じアクセントで「ソックリさん」と呼んで欲しいと告げるのです。


▽連続殺人が露呈する過程で、勇樹は、彗星高校時代に起こった奇妙な出来事を思い出していきます。どうやらそれは、今回の連続殺人と重要な関わりがあるようなのですが……。

▽連続殺人鬼「ソックリさん」の正体とは?  勇樹や生き残りの仲間たちの運命は? いただいた原稿を読み始めたら最後、予想外の展開の連続にページをめくる手が止まりませんでした。そして読み終わったあと、気がつくと「ソックリさん、ソックリさん……」とつぶやいていました。

▽ホラーでありながら、読んだら少し心が軽くなる人もいるでしょう。あるいは、今後も「ソックリさん、ソックリさん……」とつぶやき続ける人もいるかもしれません。この謎だらけの物語を、ぜひぜひお楽しみください!

▽ちなみに本書には、「本格的なコックリさん」という儀式が登場します。大変危険ですので、良い子は決して真似しないように。
(角川書店 岡田博幸)

【作者からひとこと】

☆「ソックリさん」のどこにアクセントを置いて発音するかで、この作品は大きくイメージが変わります。「コックリさん」と同じアクセントで読んでいただきたいという願いを込めて、このカバー、この帯キャッチになりました。そして、今回のテーマは、先に書いたように「顔」です。

☆「顔と鏡」に関しては前回ふれましたが、ほかにも「顔」についてはいろいろなことを考えました。誰でも、後ろ姿だけで人違いをした経験があると思います。友だちと見知らぬ人を間違えるだけでなく、家族でさえ、他人の後ろ姿を見て「あれ? そうかな」と思うことがあります。顔は、それほどに重要な識別要素です。

☆ではイヌやネコになるとどうか。どんな飼い主でも、自分のペットについては、ほかの同種のイヌ・ネコとの区別は絶対つくでしょう。でも他人が飼っているペットと、同種のペットとの識別は難しい。

☆首輪もなにもナシに100匹のチワワがいたとしても、自分の飼っているペットは必ずわかります。でも、友だちのAさんもチワワを飼っていて、それを日ごろからよく見ていたとしても、Aさんのペットを100匹の中から見つけ出すのは困難なはず。ところが、それが人間だったら、よその子でも識別ができる。

☆しかし、これが違う人種になると、そうも言っていられない。洋画で見慣れぬ俳優ばかり出てくる作品だと、ときどき役者の識別がつかなくなって、ストーリーが呑み込めなくなったりします。社会生活でそんな混乱が起きたら、これはけっこう大変なことになる。……いや、そうなってしまったほうが、むしろ平和な世の中になる……かも……しれないのですが。

(2011-2-23)